プロスポーツ選手・芸能人・
作家等の必要経費になるもの

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プロスポーツ選手=野球・サッカー・騎手・競輪・ボート・テニスプレーヤー等
芸能人・作家等=タレント・落語家・歌手・音楽家・ピアニスト・司会者・作家等

必要経費とは

必要経費とは、収入を得るために直接要した費用を言う。
従って、家事関連費(生活費の支払い)等は、必要経費にはならない。
すべての経費(支出)について、事業と生活等の両方に使用する(私用分が含まれている)場合は、合理的な事業割合で按分する必要がある。
(通信費・接待交際費・車両関連経費・租税公課・損害保険料・修繕費・消耗品費・減価償却費・地代家賃・衣装費・装飾品費等)

必要経費は、現実に支払った金額ではなく、その年において支払うべき債務の確定した金額によって計算します。
したがって、まだ支払っていない金額でも、必要経費に算入する事になります。

30万円を超える資産を購入した場合、購入した年度の経費にならず減価償却資産として耐用年数に応じた額が、毎年の費用になります。

これらの必要経費の考えは、全ての事業に適用されます。

必要経費が多ければ多いほど課税対象が低くなり、納めるべき税金が少なくなります。
税金の仕組みが複雑で、知らず知らずのうちに税金を多く払ってしまうケースもあります。
きちんと必要経費を算出し、計上もれのないようにしましょう。

以下に記入する項目は絶対的なものでなく、「具体的内容」は一つの例示であって、プロスポーツ選手、芸能人、作家等それぞれの業種によって違ってきます。

費用項目と具体的内容

右にスライドすると、情報を閲覧できます。

 費用項目具体的内容
1 租税公課
  1. 1.消費税、固定資産税、自動車税、印紙税などの税金
  2. 2.商工会議所、商工会などの会費や組合費

注:所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金の保険料、罰金、科料、過料、交通反則金などは必要経費になりません。

2 水道光熱費 事業用(事務所、トレーニングルーム)として消費した分の電気、ガス、水道料、灯油代など
3 旅費交通費
  1. 1.試合、出演、トレーニング、取材のための交通費、宿泊費、仕事場までの交通費
  2. 2.自主トレのための宿泊費
  3. 3.業務用の電車賃、バス代、飛行機、鉄道、タクシー代、宿泊
4 通信費 電話料(携帯電話を含む)、はがき、切手代
5 広告宣伝費
  1. 1.事業の発展、拡大、ノベルティのための費用
  2. 2.自分のための宣伝費
  3. 3.事業案内、年賀状に要する費用
  4. 4.求人に必要な費用等
6 接待交際費
  1. 1.接待費や、中元・歳暮などの費用
  2. 2.事業(試合、舞台)を行う上で、必要であると認められるもので、事業関係者、後援者との親睦、会食費
  3. 3.冠婚葬祭、楽屋・お祝い等の花代
  4. 4.芸能関係者からのチケット購入及び贈答用観戦、観劇用チケット代
  5. 5.専ら事業の遂行に必要と認められるもの

注:友人、知人、同級生、親戚等で事業に関係ない飲食等は必要経費にはなりません。

7 損害保険料
  1. 1.自動車の損害保険料、試合中の傷害保険、業務中の傷害保険
  2. 2.使用人のための保険料

注:自分のための生命保険料は必要経費にはなりません、生命保険料は所得控除の対象です。

8 修繕費 自動車、器具備品などの事業用のものの修理代
9 消耗品費
  1. 1.帳簿、文房具、用紙などの事務用品
  2. 2.ガソリン代
  3. 3.工具、器具、備品などのうち、使用可能期間が1年未満か取得価額が30万円未満の購入費
10 道具等の消耗品費
  1. 1.商売道具であるバットやクラブ、スパイクなど
  2. 2.トレーニング用ゴルフ道具代、トレーニングウェア、シューズなどで自分で負担するもの
  3. 3.パソコン、その他の道具代などの消耗品を購入する費用

注1:30万円以上は「減価償却資産」になります。
注2:趣味的なものは含まれません。

11 外注費
人件費
給料手当
マネージャー、スタッフの給与・トレーナーの給与
※スタイリスト、警備関連
※プロゴルファーの帯行キャディーに関する費用
12 福利厚生費 トレーナー、付き人等従業員の慰安、慰労に要する費用
13 利子割引料 事業用の資産、設備の購入のための借入金に対する支払利子など(ローンで買った住宅、及びマンションの事務所、トレーニングの部分の利息等)(居住用と併用の場合、使用面積等で按分します)
14 地代家賃 事務所、トレーニングルーム等の家賃(居住用と併用の場合、使用面積等で按分します)
15 減価償却費 減価償却資産とは
事業用として、取得した資産の取得金額が30万円以上の場合、その年の必要経費とならず、減価償却資産として法定耐用年数に基づく年数に分けて計算することとなる。
注1:減価償却資産とは事業用、通勤用の自動車、衣装代、トレーニング代、トレーニング機器、業務用のビデオ、ピアノ、楽器類で30万円以上のものです。
注2:30万は通常1単位として取引される単位ごとに行います。
注3:年間300万円を限度とします。
(税込処理方式を採用している場合には当然に消費税を含めたところで判断します)
注4:耐用年数・償却率
減価償却資産を普通に使用した場合に、その効用が持続する期間を耐用年数といい、耐用年数を一定の率(償却率といいます)に換算し、実際の減価償却費はその率を使って計算します。
注5:主な減価償却資産の耐用年数等(定額法)
資産名耐用年数償却率
普通自動車 6年 0.167
軽自動車(0.66L以下) 4年 0.250
演劇用具(衣裳、かつら、小道具等) 2年 0.500

注:中古の取得の場合は、別の計算方法があります。

16 雑費 事業用の費用で他の経費に当てはまらない費用
17 支払手数料
  1. 1.何らかの業務を他人に依頼・委託した場合の支払手数料(2)税理士などに支払う月々の顧問料や契約の際に相談する弁護士への手数料など
18 車両費
(自動車費)
  1. 1.事業用車両のガソリン代(車の修理代)、車の保険料、車検等費用。
  2. 2.駐車料金、ガレージ代。
19 ホームページに関する費用
  1. 1.外部の業者に委託してホームページを製作した場合、更新が必要なホームページであるときは原則としてその支出時の経費にできます。
  2. 2.ホームページの更新に要する費用は支出時の経費になります。
  3. 3.但しデータベース(実績、過去の記録)など、ソフトウェアの制作費と考えられる費用は無形固定資産として5年の耐用年数で償却する事になっています。
  4. 青色申告の場合、制作費が30万までのとき→少額減価償却資産として経費とすることも可能
  5. 30万〜300万→経費と無形固定資産
  6. に区分すべきではないでしょうか
20 トレーニング代 施設利用費、トレーニングウェア、機器、トレーニングのための費用。
個人的企画、自宅におけるトレーニング、自主トレに要する費用(交通費、宿泊費)プロゴルファーの場合のオフトレに要する費用。
21 健康管理費
  1. 1.健康管理、体調管理、増進、身体の手入れに関する費用でトレーナー、鍼灸に関するもの
  2. 2.この健康管理費はプロスポーツ選手について考えられるもので、芸能人、作家等については生活費になります
22 研究費
取材費
研修費
  1. 1.業務に必要な研究、開発に必要な費用。
  2. 2.自分が属しているスポーツ、芸能関係の書籍代、観劇、資料収集、勉強会、取材旅行、飲食などの要する費用。
  3. 3.舞台の役作り等に必要なもので、真に研修及び稽古が必要なもの。(趣味的なものは必要経費にはなりません)
  4. 4.スポーツの解説者等のキャンプ、遠征時の取材のための宿泊、交通費などでマスコミが負担しない場合の取材費。
23 衣服
ヘアーセット費
テレビ出演、舞台及び撮影で業務用だけにしか使用しないものは必要経費になる。
注1:一着の購入価額が30万円未満のものについては、その年の経費として算入できるが、30万円以上のものについては、減価償却資産になります。
注2:下着類は、私生活に使用するものであり、経費になりません。但し、舞台にしか使用できないものについては、経費になります。
24 装飾品費 アクセサリー等で、特に舞台用・撮影用に購入したものであれば必要経費になります。
アクセサリー等はプライベートであっても使用するものであるので、生活費と費用に按分します。
25 化粧品費
  1. 1.舞台、撮影用に使用するために購入する化粧品。(ドーラン等)
  2. 2.普段に使用する化粧品(資生堂、カネボウ、コーセー等)、香水等は必要経費に算入することはできません。

注:舞台及び生活の両方に使用する場合は、按分すること。

26 美容費
  1. 1.芸能人等の美容、エステ関連費用。
  2. 2.公演後、特に行くフェイシャルエステ。(年数回程度は良いが、毎回はだめ)

しかし数十万も出していくような通常のエステは必要経費になりません。

作家・タレント等の必要経費についての東京国税局での取り扱い
必要経費とするための資料整備チェックリスト

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費用項目資料留意点
取材費 取材ノート
取材旅行の日程表・旅費・飲食代・物品購入費の領収書
取材の目的、取材相手、場所、時間、同行者を記載する
写真・ビデオ等も証拠になる
謝礼についてもなるべく領収書をもらう
図書費 領収書 書名(最近はレシートに印字されているが)を記録する
接待費・交際費 領収書 接待の相手・目的・同行者を記載する
旅費・交通費 タクシー等の領収書
行き先の記録
目的地・目的を記載する
領収書がもらえないものは、日付・訪問先の記録をつける
自動車費用
(減価償却費・ガソリン代・修理費・保険料等)
使用記録
購入費・ガソリン代等の領収書
使用時間で事業用・私用に区分する
区分できない場合は、週に何日事業用に使っている、といった説明が必要
一般にスポーツカーは事業用にならない
給与 雇用契約書
給与明細
募集の条件は事業内容の仕事か
業務日報の内容が事業用か
家賃・建物の減価償却費・建物のローンの金利 住宅の見取図
購入価格の契約書
使用面積等で合理的に按分する
通信費 電話代の領収書 できれば電話は私用と区別する。その場合、名刺には当然事業用の電話番号が記載される。
衣装費 - 舞台衣装にかかわる費用
美装費 - スタイリスト料

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